自分の持つ文化的バックグラウンドを効かせる
世界に出て働いたり、勉強したり、生活したりしている時
リモートも含め、多文化環境に適応することに一生懸命で
自分のオリジナルのバックグラウンドのことを忘れかけたり
することがあるかもしれません。
原点、文化的バックグラウンドの感覚、スピリットを思い出したいなと
思ったときみなさんはどうしていますか?
本を読む、同郷の人と話す、郷土料理を食べる etc.
私の場合、特にパンデミック中は夫を意識して、イギリスとポルトガル料理・お菓子をつくるようになりました。
今、例に挙げたのは、目に見える文化的なものごとですが、それに付随した文化的価値観を感じることができるので、人は例に挙げたような行動に出るのだと思います。
みなさんのとっておきの方法が色々あると思いますが、今回は私が体験した面白い経験をシェアしたいと思います
オーストラリアに住んでいた時、私が住んでいた場所は、
乾燥していて一日の寒暖の差が大きい場所でした。
ある時、ケアンズに旅行に行ったとき、湿気があり温かい空気に触れました。
その時の体や心の感覚たるや、日本に降り立ったかのような感覚でした。
もちろん、それ以外は全く日本ではないのですが。
体は覚えているのですね。日本にいるときはあんなに湿気が嫌だと思っていたのに
久しぶりに体感すると体が喜んでいました。
その感覚から呼び起されたのは、職場の仲間という意識でした。
それぞれ、専門分野があり、それまで私が働いていた日本の職場とは違って
物理的にも独立した仕事の空間を持ちつつもプロジェクト毎にできるチームが
すっとタテヨコにつながることを心地よいと感じてもらえる環境をつくるということと(タテヨコにつながることは、日本特有の文化的要素も含まれているので、それに馴染みのない人にも違和感がないように一体感を作ることは大切だと感じていました。)、チームの動きを支えるという責任感を再認識しました。
文化的バックグラウンドの持つ「感覚」に戻ると言うか、もう一度目を覚ますというか、日常の一コマがトリガーとなって自分に目を向ける。
すると、自分の文化的背景に影響を受けたもの-きめ細やかな対応だったり、アートの感性だったり、スキルを極めていく好奇心だったり、に気付くことができます。
それを活かすことは、多文化環境に自分の文化的背景を効かせることであって、自分らしさと適応力を兼ね備えた存在であることにもつながっていくと思います。
多文化環境、多文化組織で相手に合わせるだけでなく、自分らしさを出し続けるみなさんをこれからも応援しています。
今回も最後までお読み下さりありがとうございました。
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自分の意見を伝えることと同じくらいに大切なこと
今日は、私と夫のコミュニケーションを通しての気付きから、自分の意見を伝えることと同じくらい大切なことについて書きます。
この一言はとてもシンプルでビジネスや留学時にも使えるなという気付きがありましたので、お伝えしていきたいと思います。
自分の意見を伝えることと同じくらい大切なこととは、
私はこう思うけど、あなたはどう思う?です。 とてもシンプルでもパワフルです。
自分の意見を伝えつつ、あなたはどう思う?をつけることで、
①相手の意見を聞く姿勢をオープンにしていますよ
②自分が出した意見に対する意見にもオープンですよという意思表示になります。
私と夫はお互いによくこの表現を使います。もしかしたら、国際結婚生活の中で無意識によく使うようになった表現かもしれません。一方的に自分の意見や思ったことを伝えたいのではなくて、一緒に何かを決めたいとき、一緒に考えたいときによく使います。そう考えると、ダイバーシティのある組織でインクルーシブに働こうと思ったら、あなたはどう思う?みなさんはどう思う?という表現は、使えるというか、使うのが当たり前になっておかしくない一言ですよね。
夫はよく私の家族と話をしている時にも、私はこう思うけど、みなさんはどう思う?と聞いています。この一言を使う事で、私の意見だけが正しいとは思っていませんよ、自分が出した意見に対する意見、賛成であろうが、反対であろうが、付け加えであろうが、皆さんのインプットも大歓迎ですよ。というオープンさを表すことができます。
それから、私の家族に限らず、この一言を付け加えないと、夫の接したことのある日本の環境では相手の意見が自然に出てくることが少ないという経験と、自分の意見だけをストレートにバンっとテーブルに置いても、コミュニケーションのキャッチボールになりにくいと長年の日本での生活で身に着いた一言です。
コミュニケーションという言葉を使ったので、ここで言及しておきたいことがあります。日本人はしばしば、発する表現が曖昧、ハイコンテキストと言われていますが、どの国とどの国の文化と比べているかへの意識が必要です。
日本と外国、または、日本と英語を母国語とする国etc…という大雑把なくくりで比較していないでしょうか。 相手がストレートな表現をする傾向がある国、ローコンテキストの国と比べればもちろん、日本は曖昧な表現をして、ハイコンテキストである傾向があると見られる可能性があります。例えば、イギリスと日本を比べると上記の傾向が見られる可能性があります。
一方で、日本よりももっと曖昧な表現をする国、ハイコンテキストの国から日本を見ると、日本はストレートな表現をして、ローコンテキストの傾向があると見られる可能性があります。
日本は世界の中でみると、どのようなコミュニケーションの傾向をもっているでしょうか?皆さんはどう思いますか?
冒頭で書いた相手の意見を聞く姿勢をオープンにしていますよという意思表示に関して。
組織の中で、意見が出ないとお悩みの方は、
①あなたはどう思う?みんなはどう思う?をこれまでよりも多く使ってみる。
②即答ばかりを望むのではなく、トピックによって可能なものは前もって聞いたり、答えはこの会議の終わりにまた質問させて。など時間を与えることで、頭と心に余裕をつくってもらうなどの柔軟さを取り入れる。
③出してくれたアイデアに、正解不正解はない、良い悪いはない。ということを明確にする。
と効果があるかもしれません。
IGでは多文化適応力の基礎力をつけるためのtipsや多文化目線をご紹介しています
エンパワーメントと価値観
慣れ親しんだ自分の文化を知る
人は自分を理解した深さまでしか、相手を理解できない
これは、臨床心理学者である村瀬嘉代子さんが述べられた言葉だそうです。
私は、水泳パラリンピアンの一ノ瀬メイさんの記事を通じて知りました。
多文化環境に適応するために、自分が慣れ親しんだ文化を理解することは、相手の文化すなわち慣れ親しんでいない文化を学ぶことと同様に重要だということを私自身も体験してきました。
慣れ親しんだ文化を客観的に見るという事は想像以上に難しいですし、受け入れ難いことを知ることもあります。
しかし、そこを客観視して学ぶ力というのは、相手の文化を学ぶ力、そして適応する力となると考えています。なぜなら、何(What)をどのように(How)適応すればよいかが分かるからです。慣れ親しんだ文化のことがよく分からない状態は、この何(What)にあたる部分が無い状態です。
さて、異文化理解という言葉を聞いて、皆さんは何を理解することをイメージしますか?
私のイメージはこうです。(あくまでも私の)
異文化=異なる文化 異なるとは何と異なる?=自分の慣れ親しんだ文化と異なる
ということは、「異文化理解」という言葉自体に自分の慣れ親しんだ文化を知っている事が前提であり重要な要素として入っているという解釈を私はしています。
加えて、多文化は自分の文化も俯瞰して見ている状態と私は解釈しているので、多文化という言葉を出来るだけ使いたいと考えています。
海外駐在や留学などで、ああなんでこの人達はこんな事言うのだろう、こんな行動をするのだろう(ポジティブにもネガティブにも)と感じることがあると思います。そのような時に、よく自分の文化を知っていれば、次のステップを踏むことができます。
- ステップ①:私はこういう価値観をもっているけれども、相手はこのような価値観を持っている。=両方の立場を認識できる。
- ステップ②:相手には私の言動とこの状況が自分とは違って見えているのかもしれないと想像することができる。=相手から見た自分と置かれた状況を想像できる。
笑顔が好印象を与えると思われている文化とそうでない文化を使って、初対面のミーティングでの簡単な例を挙げると
それぞれの文化の人が接した時の反応は、自分の文化を知っている人とそうでない人で以下のように違います。
- 自分の文化を知らない:愛想が悪い人だな or ずっと笑って緊張感のない人だな
- 自分の文化を知っている:私の国では笑顔は好印象を与えるとされているけれど、そうでない国もあるのかもしれない。私ってもしかして笑顔を出しすぎ??or 私の国では真剣な顔が好印象を与えるとされているけれども、そうでない国もあるのかもしれない。私ってもしかして表情が硬すぎ??
自分の文化を知っていると、相手の印象の捉え方と多文化適応へのチャンスがこのように違ってきます。
今回は、自分の文化を知るということについて書いてみました。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
アクロスカルチャーズ のコンセプトにある、違いを知るで終わらない。
この違いの一つは何かというと、慣れ親しんだ文化とそうでない文化の事です。
つまり、慣れ親しんだ文化を学ぶ事もとても大切にしています。
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ワークライフバランス
海外経験がある方、特に北ヨーロッパ、ヨーロッパ、オセアニア、(アメリカもやや当てはまる)、アジアではタイ、がワークライフバランスとはこのことか!と分かったとよくおっしゃっています。
定時に仕事を終えるというパターンもありますが、定時に仕事をいったん終え、プライベートの時間を過ごし、夜中近くにまた仕事をする。というスタイルをとる人もいます。そのようなスタイルをとるのは、個人がイニシアチブを取って、自分の中で仕事とプライベートの区別をはっきりさせているからです。また、プライベートの時間を大切にするという価値観が受け継がれている国もあります。つまり、そのような人たちにとっては、仕事の時間とプライベートの時間を切り分けて行動に移す事が自然なことなのです。
夜中近くに仕事をまたやる人たちについては、集団のしがらみや習慣だからやっているわけではありません。また、仕事が残ってるから夜遅くにまたやる。というのではなく、この時間に仕事をやることで効率があがるから、仕事の整理がつくからというポジティブな要因が多い傾向にあります。(時差の関係で、自国の通常の勤務時間にこだわれない人もいます)
<ネガティブ労働時間とポジティブ労働時間>
ネガティブ労働/時間
- これまでそう(長時間労働)してきたから、周りもまだ仕事をしているから長時間労働をする
- 長時間仕事をしないと達成感を感じない(要注意!)
- 意味のない、なくなったタスクを切り捨てると言えないからいつも忙しい
ポジティブ労働/時間
- 長時間労働は仕事が効率的にこなせていない象徴なのでやらない
- 自分はこれだけ仕事をしたという事を自認している
- 所定時間内に終わらずその日のうちに終わらせたい仕事があれば、プライベート時間を確保してリフレッシュor 家族との時間を確保した後にやる(これは職種や業務形態によって可能・不可能があります)
<長時間労働をやめるという思考ではなく、ネガティブ労働からポジティブ労働へのシフトという思考>
長時間労働をやめろと言われても、なかなかやめられない(業務がまわらない)のではないでしょうか。私もそうでした。
終業間際になって入ってきたタスクを自分の手元に持ったまま帰りたくない、ボールは投げてから帰りたい。確かにそういう日もあると思いますが、ボールを投げてから帰る事にこだわっているのはなぜか。ボールを投げて帰る事でどれだけの価値を会社に与える事ができるのか(そうでない時もあるかも?)、今急いでやることでそのまた
次のタスクが15分後に入らないのか(細かなやり取りが続きそうなタスクではないか)。考えてみる余地がありそうです。
今日の仕事もよくできた。間違えても学んだ。という事を他人から言われなくても自分で認める。この自分で認めるという行為は、自分の行動に責任を持つということにも繋がります。また、このようにして自分の観察力を高めておけば、人事考課や転職の時に話す内容がポジティブに変わってきます。
最後に。
ポジティブ労働時間を増やすという思考で結果的にワークライフバランスが保たれるようになることを願っています。そして、それは一人ではなしえないことで、組織がこのような考え方を尊重することが大きな支えとなります。
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日本で多文化結婚式
こんにちは。最初のブログ記事は何にしようか色々考えた末、私の結婚式について書くことにしました。ポッドキャストではかちっとした内容が多いので、ブログでは日々の気付きについても書いていきたいと思います。
私の夫はイギリス人です。
お付き合いをしている時は国と国というより、個人と個人で接する意識の方が高く、文化の違いを感じる事は多くはありませんでした。加えて、夫も日本歴が出会った当時5年以上で文化受容カーブでいう適応期だったというのもあると思います。国と国の文化の違いというより、育ってきたバックグラウンドの違いの大きさを感じていました。
本題に戻り、結婚式についてです。
当時はどのカップルも多分そうであるように準備に追われて特に気付いていませんでしたが(意外と周りは気付いていたんだろうな。。。)、振り返ってみると、イギリスと日本の様式を出来る限り含めたインクルーシブな結婚式だったと思います。
その①英方式 結婚式当日 新婦はバージンロードを歩くまで、新郎に姿を見せてはいけない。
このルールを絶対守ると考えて下さったウェディングプランナーさんが、衣裳部屋からヴァージンロードまでの移動中、万が一鉢合わせしたり、どの方向からも見られないようにキャスター式の付いたてを用意して下さり、細心の注意を払って移動させて下さいました。
結婚式数年後、ウェディング会場の支配人のお話する機会がありましたが、これが必要だったのは未だに私たちだけだとおっしゃっていました。
日本では結婚式と披露宴合わせて時間が3時間くらいなので、結婚式が終わったらお色直しの時間をとって速やかに披露宴が執り行われる場合が多いです。イギリスの場合は、結婚式はだいたい半日、12時間くらいなので(翌朝のXXを含めるともっとですね!)式の後に新郎新婦を含めた歓談の時間が長く設けられます。ということで、私たちがとった方法は結婚式の時間を長くすることなく、他の部分を削ってシャンパンパーティーの時間を設けました。これもまた日本特有?(イギリスではひな壇はないです)のひな壇に座る前に、来てくださった方とお話をする時間を取ることができました。(海外、遠方からのゲストが多かったのでこの時間は貴重でした)
その③英方式 新郎の家族は一番前に
日本では新郎新婦の一番近い家族は後ろに座るのが一般的です。ですが、夫にとってみれば一番近いところに座らないと不適切だとのこと。正直言って、大学時代も含め親元を離れてからお世話になった方に感謝の意を表すのも結婚式で重要視していたので、ここはかなり私の中では抵抗がありました(だからと言って、夫の家族に感謝していないことは全くなく)。振り返ってみると、私の中での世間体を気にする部分がここで強く出たのかもしれません。でも、日本で結婚式をするからといって日本式でやらないといけないルールはないと考え、夫と私と出席者がComfortableであろう席次を作りました。
この3つが、”普通の”日本の結婚式とは違う点トップ3です。
多文化環境では、これまでその人が経験してきた普通が普通でなくなるとよく言われますが、私の結婚式でもそうだったと思います。しきたりを守らないのは勇気がいりますが、ただ単にやりたくないからという理由からしきたり通りにしなかったのではなく、私たちの結婚式の場合、お互いを尊重したいからという気持ちで選択をしていきました。席次表にしろ、式の中の時間配分にしろ、なんでこうなっているのか、というしきたりの背景を考え、夫と私の結婚式ではどうするかという事を結婚式の準備という激走(!)のなかで考えたのだと振り返ります。
そんな結婚式を温かく見守って下さり、今も応援してくださっている皆様、ありがとうございます。
おまけ
式の時、私は白無垢、夫はスーツでした。
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